「一人暮らしを始めよう!」と決意したあなたが、まずやることといえば「部屋探し」。
でもいざ探し始めると、物件数がとにかく多くてびっくりしますよね。立地、間取り、家賃、設備、築年数…本当にさまざな部屋があって迷っちゃいます。
中でも、家賃は一番の悩みどころです。「自分の収入に見合った」「無理のない」「理想的な」金額…普段の生活費や突然の出費なども考慮して、いったいいくらにすればいいのでしょうか。
この記事では「部屋探しの時に家賃をどう決めたらいいのか?」についてご紹介します。
家賃は収入の1/3?1/4?理想的な金額はいくら?
ここでの家賃とは「賃料+管理・共益費の金額」とします。
毎月管理会社や大家さんへ支払う固定費ですね。
理想の家賃は収入の20%~30%の範囲がよい。と、よく聞きますよね。
家賃は毎月必ず支出がある固定費ですから、安いに越したことはないと考える人はとても多いでしょう。
結論から言いますと、私のおすすめ家賃は年収の20%~25%か手取りの25%~30%です。
そして、相場から見て明らかに安すぎる物件はおすすめしません。
その理由を順番に説明していきますね。
収入から家賃を計算してみよう
日本人の収入の中央値は平均360万円と言われています。
360万は年収(源泉徴収法の支払金額欄)なので、ここから保険料などもろもろ控除された金額が手取り(源泉徴収票の給与所得控除後の金額)になります。
年収360万の手取りは280万前後、およそ月23万です。
この例で年収と手取りそれぞれから計算した場合、以下の金額になります。
【年収ベース】
年収360万×0.3÷12 = 9.0万
年収360万×0.25÷12 = 7.5万
年収360万×0.2÷12 = 6.0万
【手取りベース】
手取り23万×0.3 = 6.9万
手取り23万×0.25 = 5.8万
手取り23万×0.2 = 4.6万
賞与(ボーナス)の有無や金額は勤め先によって変わるので、計算する時は年収本体か、年収を12か月で割った金額をベースにするとよいでしょう。
計算の結果は、4.6~9.0万の範囲です。これだと相当な数の物件が該当してしまいますね。
収入の20~30%という基準だと、迷いを解消するには選択の幅が広すぎることがわかります。
生活費は家賃だけじゃない
では、家賃を決めるためにもう少し掘り下げてみましょう。
家賃を除いた生活費(固定費・変動費)は平均10万ほどかかります。
さらに、突然の出費は多い時で2~30万はかかります。突然の出費に対応するために月々1~2万の貯蓄が理想です。
そして、月23万という数字は賞与を考慮していません。賞与を仮に60万とすると、月々の手取りは18万になります。
家賃を除く生活費10万と貯蓄1万とすると、手取り18万ならあと7万しか余裕がありません。年収25%~30%では賞与月以外は赤字になる可能性大です。
仮に貯蓄を0としても、かなり余裕のない生活になりますね。
一応、毎月赤字だとしても年収でみれば黒字です。最終的に生活費を必ず節約する前提で賃貸契約…できなくもないですが、これは「自分の収入に見合った」「無理のない」とは言えないでしょう。
家賃の計算はこの割合がおすすめ
そこで、私がおすすめする家賃の割合は年収の20%~25%か手取りの25%~30%です。
今回の例だと5.8~7.5万の範囲になります。選択の幅がだいぶ狭まりましたね。
この範囲を目安に月々の手取りと相談すると、「無理のない」金額におさめやすいと思います。また、毎月の貯蓄が可能な範囲でもあります。
もし月の収入より支出が上回りそうでも、多少の節約で十分カバーできる範囲です。
家賃は住む地域を決める判断材料にもなります。範囲が決まったら気になる地域の家賃相場を調べてみるとよいでしょう。
管理・共益費は高いほうが得?
賃料とともに必ず大家さんへおさめるのが管理・共益費です。
これは主にその物件のメンテナンス費や管理人さんの人件費に充てられます。通常は賃料の5~10%で設定され、もっと高額だったり、逆に0円の物件もあったりと様々です。
この管理・共益費は、実は高いほうが入居者にとってお得です。
・初期費用を安くおさえられる
・充実した設備が利用できる
・清掃が行き届いている
エレベーターや宅配ボックス等があるのはすごく便利ですし、オートロックがあればセキュリティ面も安心です。
また、もし共用部の清掃がされていないと感じても、管理費を払っていますからすぐ大家さんへ言いやすいです。
ちなみに、管理・共益費が0円だからといって大家さんへ相談できないなんてことはもちろんありませんので安心してくださいね。
安すぎる賃貸物件をオススメしない理由
目安になる賃料が計算できたところで、1つ注意点があります。
それは相場から見て安すぎる賃貸物件は避けたいということです。
家賃は固定費のため、変動費と違って簡単に削減ができません。よって「安ければ安い方がいい」と考えるのは自然なことでしょう。
しかし、安くなるのには必ず理由があります。
激安物件を選ぶなら次のようなリスクも加味しておきましょう。
物件そのものに難点が多い
間取りが三角形、洗濯機置き場が外、築年数が30年以上など物件自体に住みにくさが見えると希望者が集まらないため、家賃を下げて募集することが多いです。
特に物件自体がかなり古い場合、壁やフローリングなど内装だけリフォームしていても、水回りの老朽化が激しい等生活に支障が出ることも多いです。
また、耐震性にも不安がでてきます。
一つの目安として、1981年6月1日以降に建築確認を受けた物件は新耐震基準が採用されているので、旧耐震基準の建物より幾分か安心です。
建築確認(けんちくかくにん)とは、建築基準法に基づき、建築物などの建築計画が建築基準法令や建築基準関係規定に適合しているかどうかを着工前に審査する行政行為である。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/21 13:25 UTC 版) weblio辞書より
築年数が古い建物を検討する際は、不動産仲介業者に必ず確認しましょう。
周辺環境に不安がある
立地が線路の脇、幹線道路沿いは治安や騒音の心配から家賃が下がる傾向にあります。
近くに歓楽街があったり、家の裏が墓地など心理的に希望者が減りやすい物件も同様です。
ここ数年は水害による被害の大きさから、河川の脇に立つ物件も下がりやすいでしょう。
私が初めて一人暮らしした物件は駅から徒歩15分の幹線道路沿いだったため、相場より2万安く入居しました。新築でオートロック完備、宅配ボックス、24時間ゴミ出し可にも関わらず、半年間希望者が増えずにやむなく下げたそうです。
住んでみるとやっぱり車やバイクの騒音はすごかったですし、スーパーも郵便局も遠くてなかなか大変でした。建物の設備は本当に申し分なかったので、自分のライフスタイルに合うかどうかも大切ですね。
物件の住居人に問題がある
たびたび他の住居人とトラブルを起こす人が入居している物件は、家賃を大幅に下げ、あわせて入居審査のハードルも下げることで希望者を募っている場合があります。
通常、賃貸契約時はどんな人でも必ず入居審査を受けます。
家賃の支払い能力や保証人を立てられるかのほかに、入居者自身の性格や人柄も見られます。契約時のやり取りなどを通して「この人は問題を起こさず、部屋を大切に使ってくれそうな人か」を審査の上で、契約に至るのです。
しかし、すでに問題のある人が入居する物件は、そうでない物件と同じように入居審査しても、長く住み続けてもらえない確率が高いです。
そこで入居審査を緩めて希望者を多く募り、とにかく空き部屋期間を少なくしようとするのです。
事故物件とは?
激安物件の一つに「事故物件」があります。
事故物件とは、主に「入居者が亡くなった物件」のことを指します。
事故物件は心理的瑕疵に該当するため、不動産仲介業者は入居者へその事実を伝える義務があります(告知義務)
心理的瑕疵(しんりてきかし):
不動産用語で、物件そのものに瑕疵・欠陥があるわけではないが、過去に自殺者を出していたり殺人現場になっていたり、あるいは墓地や宗教団体の施設が隣接していたり、といった、借り手が強い心理的抵抗を感じやすい条件があることを指す語。
最近は賃貸検索サイトでも設備・条件の備考欄に「心理的瑕疵あり」と記載されているので、一度検索してみてもいいですね。
告知義務があるので、入居者側が事故物件と知らずに契約してしまうケースは少ないです。ただし、事故物件の定義はかなりあいまいで、入居者が亡くなったら即事故物件というわけではありません。
殺人や自殺など故意による死だと事故物件扱いになりますが、高齢者の孤独死や急死の場合はその時々に不動産仲介業者が判断する等ケースバイケースなんですね。
事故物件が気になる人も気にならない人も、部屋探しをしていれば行きあたることがあるかもしれません。その時は必ず仲介業者さんに詳細を聞いてから判断しましょう。
私は、住環境についてはできる限り妥協しない方が良いと思っています。
家で過ごす時間はなんだかんだ長いからです。
平日フルタイムで働いているとして、8:00~20:00以外の12時間×5日+土日24時間×2日…一週間で計108時間。日々の60%近い時間を過ごすことになります。
もちろん住んでみてから気づく色んないいところ・悪いところもあると思います。工夫や試行錯誤で住みやすさを改善することも楽しいです。
でも、最初に選ぶ段階で良いと思える環境なら、そっちのほうが断然いいですよね。
一人暮らしにはお金がかかります。安いに越したことがないのもわかります。
でも、周辺環境の良さや住環境の条件を厳選することで家賃が上がるなら、それは自分にとって住みやすい場所を確保するための「必要経費」です。
生活費とのバランスはもちろん重要ですが、住んでみてからどうしてもダメで何度も引越を繰り返す方がよっぽど高くつくことになります。
安易に安いからと飛びつかずに、不動産屋の情報や下見で直接確認することを心掛けたいですね。
さいごに
部屋探しってすごく楽しいですよね。新しい生活のわくわくを感じさせる一番最初の一歩だと思います。
実際に部屋探しを始めてみると、駅からの距離や間取り、築年数や設備などによって予算を増やしてみたり、逆に安くて住むのに問題なさそうな大穴物件を見つける…なんてこともあると思います。
ご紹介した割合を目安に、家賃や様々なリスクを考慮しつつ、無理なく楽しくお部屋探しをしちゃいましょう。