健康のために、美容のために、ダイエットのために…「水は1日2リットル!」。
こんな言葉が巷にあふれて久しいですが、世の中にはこんな風に感じている人もいるようです。
水を飲むことに苦手意識を持っていたり、水を飲む習慣がない人は少なからず存在します。
しかし、1日2リットルの水は健康を維持する為の大切な要素であることは明白な事実。なにか良い方法はないのでしょうか。
そこで、この記事では
・水を飲まない人がもつ3つの理由とは
・水を飲まないと起こりうる5つのリスク
・足りない水分は食事でとろう!3つのオススメレシピ
の3つについて、詳しく解説していきます。
水に苦手意識をもつ人も、そうでない人も、ぜひ読んでみてくださいね。
水を飲まない人がもつ3つの理由とは
日本では昔、就寝前や就寝中に目覚めたときに水分補給するための水を枕元に置いておく「宝水」という習慣がありました。
就寝前に水を飲むことで血液をサラサラにし、就寝中にかく汗の分も補填する…まさに一石二鳥の習慣です。
このような習慣が生まれたのは、ひとえに「人体にとって水分の摂取はとても重要」なためでしょう。
実際、現代でも1日の推奨摂取量はおよそ1.5~2リットルと言われています。
しかし、そんな事実があれど水を飲まない(または飲めない)人が大勢いるのも事実。
それにはこんな理由があるようです。
そもそも水を飲む習慣がない
元から水分をとる習慣がない、または水分を多く摂ることに抵抗感がある人は意外と多いです。
なぜ水を飲まないのか?それには、こんな理由があるようです。
水を飲まない理由
- 喉の乾きを感じにくい体質である
- 水太りしたくない
- 胃からぽちゃぽちゃ音がするのは嫌
- 水分でお腹がいっぱいになってしまう
- トイレにすぐ行けない職業に就いている
「水分の摂取はむくみにつながる」。この真偽については後述しますが、なんにせよ慢性化したむくみを水太りとよび、水分摂取を嫌がる人は少なからず存在します。
むくみは目に見える体重増加にもつながりますから、特に若い女性は気にしてしまうのかもしれません。
また、元々小食だったり、水分代謝が良くない人は生活への支障を感じて水分摂取を避けてしまうのでしょう。
体からのサインに気づきにくい人は、水分補給自体「面倒くさい」で済ませてしまったり…。
仕事柄難しい場合を除けば、生活で感じるさまざまな不快感が元になっている理由が多いようです。
水そのものが苦手
「水の味が無理」という人も、結構見かけます。
確かに、常に飲める環境にある水が必ずしも美味しいとは限らないですよね。
マンションの水道水が塩素臭強めだったり、かといって浄水器をつけるのも水を別に買うのも面倒で…。
お店で出された水がたまたま不味かった、なんてこともあるかもしれません。
すると自然と苦手意識をもってしまい、その後の人生でずっと水が苦手なまま生きてきた人も少なくないのでしょう。
そんな人でも、次のような「条件付きの水分」ならOKという人が多いようです。
・味付きの水(レモンやハーブ水など)
・炭酸水(無糖)
・お茶やコーヒー
・ジュース
ちなみに、お茶やコーヒーでも水分補給にはなりますがカフェイン含有量には注意したいところ。不眠や消化不良を引き起こすおそれがあります。
同様に、ジュースに多く含まれる糖分にも気を付けなければいけません。体重増加だけでなく、糖尿病のリスクも上がってしまいます。
薬はジュースで飲んでよい?
市販薬・処方薬に限らず、薬は必ず水で飲んでください。
水以外で飲むと薬効が従来通りの働きをせず、身体に思わぬ作用をもたらす場合があります。
「薬を飲む期間+前後1日程度は、グレープフルーツなど柑橘系の飲食をしてはいけない」というのは有名な話ですよね。必ず、お水で飲みましょう。
ジュースや炭酸水はそれなりにコストもかかりますから、水をそのまま飲めるのが一番理想的ですが…。苦手意識の払拭は、一朝一夕にはかなわないものです。難しい問題ですね。
外出先でトイレに行きたくない
外出先のトイレが必ずしも清潔とは限りませんよね。
日本のトイレは海外と比較してもかなり衛生面が保たれていますが、それでも気になってしまう人もいます。
外出先のトイレのここが気になる
- 誰かが使った後の臭いや未消毒の便座が嫌
- 流すときの飛沫が嫌
- ウォッシュレットを他人と共用したくない
- 荷物を置くスペースが汚いことがある
- 公園など屋外のトイレは不衛生なことも
「外出先でトイレに行きたくない、行けない」という心理が、無意識に水分補給を抑えてしまうことは十分考えられるでしょう。
同様に、長時間の会議や接客対応を求められる人は仕事に支障が出ないよう、控えてしまうのかもしれません。
慣れた地域であれば清潔なトイレの場所を確認しておく、トイレに行かなくてすむ移動時間におさめるなど対策が可能です。
しかし、初めての場所では同様の対策ができませんから、やはり水分摂取を避けたくなってしまうのでしょう。外出が多い人ほど、なかなかに辛い問題ですね。
水を飲まないと起こりうる5つのリスク
人間はただ生きているだけで、尿や汗によって1日2.5Lもの水分を排出すると言われています。
つまり、その分を随時補給できなければ体内の水分量はどんどん不足し…脱水症状を起こしてしまうんです。
脱水症状が起きた身体は従来通りの働きをできず、意外と知られていない多くの症状を引き起こします。
ここからは、そのリスクと水分補給で気にしておきたいポイントについて詳しくお伝えしていきますね。
脱水症・熱中症
脱水症とは、体内のミネラルやタンパク質・水分…つまり体液が不足した状態を指します。
「人体の6割は水」とよく言いますが、この体液が減ることで人体にはさまざまな症状が現れるんです。
・いつもより多くの汗をかく
・喉の渇き
・めまいや吐き気
・脱力感や倦怠感
・けいれん
・しびれ
・脚がつる
・ものを飲み込みにくい
・失神 など
水分不足から全身に血液が行き渡りにくくなり、体内の機能が本来の働きをできなくなってしまうんですね。
一方、夏によく耳にするのが熱中症です。
熱中症は気温の高い場所で大量の汗をかくことで、やはり体内の水分不足から血行が悪化し、次のような症状を引き起こします。
・けいれん
・めまいや吐き気
・頭痛
・脱力感や倦怠感
・意識障害や昏睡
・失神 など
どちらも命にかかわる症状につながりますから、普段から発症しない心がけが大切です。そのためには「こまめに水分と塩分を補給する」こと。
喉が乾くのを待たずに少量ずつでも積極的に水分をとる習慣を普段から心がけることで、予防していきましょう。
糖尿病
「水分不足で糖尿病」?一見なんの関係もないように思えますが、実は補給の仕方に問題があるんです。
その問題とは「水分を主に清涼飲料水で補給してしまうこと」。
意外と知らない人が多いんですが、清涼飲料水は糖分をかなり多く含む商品です。それも少量ではなく、1本飲みきれば容易に糖分の推奨摂取量1日分を軽く超えてしまうほど。
1日の糖分推奨摂取量は、次の式から計算できます。
1日の糖分(砂糖)の推奨摂取量
= 自分の体重(g)×0.05%
体重50kgの人は25gといった感じですね。持病や既往歴によって変わるものなので、あくまで目安として覚えておくとよいでしょう。
参考までに、市販のジュースに含まれる糖分を角砂糖に置き換えた表をつくってみました。
市販のジュースの糖分を角砂糖に置きかえた場合 | ||
飲料名(500ml) | 糖質 | 角砂糖(1個3.5gで計算) |
コカ・コーラ | 56.5g | 約16個 |
カルピス | 55.0g | 約15個 |
ファンタ | 50.0g | 約14個 |
ポカリスエット | 31.0g | 約8個 |
アクエリアス | 23.5g | 約6個 |
午後の紅茶(ミルクティー) | 37.5g | 約10個 |
午後の紅茶(レモンティー) | 35.0g | 約10個 |
午後の紅茶(ストレートティー) | 20.0g | 約5個 |
C.C.レモン | 56.5g | 約16個 |
いろはす(なし) | 24.0g | 約6個 |
いろはす(アロエ) | 21.5g | 約6個 |
飲み物は一例ですが、1本飲みきると簡単に1日の糖分摂取量を超えてしまうことがわかります。
「水分不足は解消できるじゃん!」と言いたくなるかもしれませんが、これだけ砂糖の過剰摂取になるのはかなりまずいんです。
砂糖の過剰摂取は肥満につながり、増加した内臓脂肪から分泌されるホルモンはインスリンの効果を下げてしまいます。
インスリンは、毎日の食事で上がった血糖値を適切な状態に戻してくれる人体にとって重要なホルモンです。
それでも血糖値は下げるために膵臓はインスリンを出し続け、だんだん疲弊してしまいます。
膵臓が力尽きてインスリンを従来通りに作れなくなれば血糖値の高い状態が続き、糖尿病になるおそれがあるんです。
糖尿病は、相当悪化するまで症状がない恐ろしい病です。発症しないためにも、水分不足を清涼飲料水で補う習慣はさけましょう。
適度に飲む分には問題ないですから、ジュースはたまの楽しみにしておくのがよさそうですね。
脳梗塞・心筋梗塞
水分不足になった身体は次第に全身の血液が濃縮し、いわゆるドロドロ血になっていきます。
血流が悪化すると血栓ができやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になってしまうんです。
若く元気なうちは関係ないようにも思えますが、実は脱水による血流悪化で起こる脳梗塞や心筋梗塞は30~40代でも十分起こりえます。最悪、死に至る可能性も…。
これを防ぐには、普段から血液をサラサラにする心がけが大切です。
喉の渇きにかかわらず、こまめな水分補給を行いましょう。その際、利尿作用のあるカフェイン含有飲料は避けてください。アルコールも、もちろんだめですよ。
肌トラブル
水分不足が起きている身体は、当然肌の状態も良好とはいえません。
全身を循環する水分は、本来表皮にも到達して潤いをもたらすもの。しかし、水分不足から血行不良が起きると、肌にはこんな症状が…。
・強いつっぱり感
・ツヤがなくなる
・カサカサする
・かゆみがでる
・洗顔後表面にざらざら感
水分不足で血行不良が起きている体は、当然顔色も悪く見えてしまいます。かといって、化粧でフォローしようにも乾燥した肌では上手くいかないですよね。
肌のバリア機能も衰えているのでニキビもできやすく、なかなか治りにくいでしょう。
肌の水分量を高めるには、やはりこまめな水分補給が重要です。汗をかきやすく紫外線も強い夏や、湿度が低くなる冬は特に意識して摂取してみましょう。
肌を守るための水分摂取なので、体温を低下させる冷えた飲み物はNG。
身体を温めてくれるジンジャーやハーブティーのほか、お茶の利尿作用が気になる人は白湯がオススメです。
化粧の30分前、あるいは朝起きてすぐに飲むと化粧ノリが全然違いますよ。
もちろん「肌トラブルの原因が水分不足だけ」ということは稀です。
水分補給とあわせて実践できる肌をきれいにする方法もまとめたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
むくみ
「むくみの原因って水分なんだから、水を飲まない方がむくみが出ないのでは?」
いいえ、そうではないんです。むくみを抑えたいなら、絶対に水分を控えてはいけません。
何故なら、私たちの体が健康でいられるのは「水分が足りている状態が大前提」だからです。
人体は、常に一定の水分量を体内に保つようできています。飲みすぎれば「過剰である」と判断し、排出するためにトイレの回数も自然と増えるものです。
逆に、体が水分不足を感じ始めると「体内の水分をこれ以上逃がすまい」と働きかけます。
本来排出されるべき不要な水分が体内に残り続け、これがむくみにつながってしまうんですね。
むくみを予防する、また解消するためにはやはり水分の補給は必須。毎日新しい水分を摂取し、古い水分を適度に排出していく流れを体につくってあげましょう。
常に手元にコップ1杯の水分を用意しておき、こまめに口にするのがオススメです。
そのほか、むくみを解消する方法については詳細を下記事にまとめています。
足りない水分は食事でとろう!3つのオススメレシピ
意識して水を飲む習慣をつけることの重要性は、十分にお伝えできたかと思います。
でも、普段飲まない(飲めない)人がいきなり今日から飲めるようにはなるには、きっかけや工夫が必要ですよね。
水を飲むのが苦手な人が飲めるようにする工夫として、ざっと調べただけでもこれだけの方法が見つかりました。
・目標摂取量のボトルを持ち歩いて1日で飲みきる
・飲む時間にタイマーをセットする
・1日の「飲むタイミング」を決めて順守する
でも、義務とかノルマって人間なかなか続かないものです。継続〇日目!がなにかの拍子にストップしてしまうと、そこで終わってしまったり…。
無理なく水分を摂取し続けたいなら、まず「水を『食べる』習慣」を始めてみましょう。
私たちは普段の食事から1リットル程度の水分を摂取できている、と考えられています。
大幅には難しくても、その部分を少しだけ増やすことは可能なはず。毎日の食事で工夫できるなら、そう苦にもならないですよね。
そこで、水分を多めに摂れる食材やレシピについて詳しくまとめてみました。
気になるレシピがあったら、ぜひ1度つくってみてくださいね。
スープ・餡かけ
野菜に含まれる水分もまとめてとれるスープや餡かけ料理は、水分を多めに摂りたい時の鉄板料理です。
余った野菜や肉・魚で1人前をささっと作れるので、1日のどの食事にでも加えられるのは魅力的ですね。
卵とレタスの中華風とろみスープ
【材料(1人前)】
- 水…2カップ
- 卵…1個
- レタス…1枚
- 豆腐…1/2丁
- 味覇…小さじ1
- ごま油…小さじ1/2
- 塩…ひとつまみ
- おろししょうが…好きなだけ
- 片栗粉…大さじ1
- 豆腐は小さめの角切り、レタスは1口サイズにちぎっておく
- 鍋に調味料と水を入れ、煮立たせる
- 豆腐とレタスをいれ、再びひと煮立ちさせる
- 火を止め、分量外の水で溶いた片栗粉でとろみをつける
- 溶き卵を入れて蓋をし、卵に火が通ればできあがり
レタスは、その95%が水分でできています。水分を摂りたい人には、うってつけの野菜です。
生で大量に摂取すると体を冷やしてしまいますが、温かいスープなら水分もとれて一石二鳥。
栄養価の高い卵や機能性食品の豆腐と一緒にいただきましょう。手順②できのこをいれても美味しいですよ。
おかゆ
約60%が水分であるご飯はそのまま食べても十分水分がとれますが、もっと水分を多くとれる調理法があります。それは、おかゆです。
少ないお米を水分でかさ増しするおかゆは、実に約80%が水分にあたります。食感はお米を食べるのに近いですから、水を飲むことが苦手な人には最適な方法でしょう。
お米の効果で整腸作用も期待できるので、毎日の朝ごはんにもオススメですよ。
「ダイエットも兼ねて、昼食をおかゆにしてみたい!」人には、真空断熱ポットを使ってみてください。
朝準備して持参すれば、お昼にはちょうどおかゆが完成しています。お弁当におかゆを持っていきた人にはこちらがオススメです。
下記事では、おかゆの基本の作り方とその他5つのレシピについて詳しくまとめています。
忙しい朝でも炊きたてのおかゆを手間なくつくれる方法も!ぜひ読んで参考にしてくださいね。
煮物・蒸し物
野菜・海藻が水分をしっかり吸収してくれる煮物や蒸し物は「水を飲んでいる感」が少ないのに水分を多くとれる料理です。
せっかくなので、煮物の中でも特に水分量の多い1品をご紹介しましょう。
ひじきときゅうりの炒め煮
【材料(1人前)】
- 豚バラ…100g
- 乾燥ひじき…10g
- きゅうり…1本
- 油揚げ…1枚
- にんじん…1本
- だし汁…1/2カップ
- しょうゆ…大さじ1
- みりん…大さじ1/2
- 豚バラ肉は1口サイズに、ひじきは食べやすい長さに、きゅうりとにんじんは細切り、油揚げは短冊切りにする
- 深めのフライパンで豚バラ肉を炒める
- 豚バラ肉に火が通ったらにんじんとひじきをいれ、炒める
- にんじんがしんなりしてきたら油揚げときゅうりをいれ、さっと炒める
- だし汁と調味料をいれ、軽く炒めながら煮詰めてできあがり
ひじきの炒め煮は約80%、そこに加えるきゅうりの水分量はなんと約96%!もうほぼ水分といっても過言ではないですが、栄養バランスも味も良いオススメの1品です。
材料の量は目安なので、お好みで変えてみてください。油揚げの代わりに、ちくわをいれても美味しいですよ。
まとめ|「水の飲み方」は1つじゃない
水を飲むのが苦手に感じる理由と、そんな人でも水分を摂取しやすい3つのレシピをご紹介しました。
ただ「そんなに水を飲めない!」で終わらず、ぜひこの記事でご紹介したレシピを試してみてください。
たとえ毎日できなくても、実践することで体への良い影響を次第に感じられていくはずです。
水は、人間がただ生きていくために最優先で摂取すべき要素。これは揺るぎない事実で、個人の都合で覆せるものではありません。
それでも水分をとることに苦手意識がある人、多くを飲めない人にこの記事が役立てば幸いです。