最近、香害や化学物質過敏症についてニュースや新聞記事で取り上げられることが増えてきました。
予兆が目に見えず、ある日突然今までの生活もこれからの人生も奪われてしまう…その原因は何気なく選んだ日用品!?
そんなショッキングな現実に困惑や動揺がみられる中、こんな声も聞こえてきます。
確かに、香害の原因が合成香料ならマスクで防げそうですよね。また、風邪やインフルエンザのように病院で治療を受ければ治るのでは?という疑問もごく自然なものでしょう。
この記事では、そんな疑問の答えへたどり着ける3つの情報をまとめてみました。
・香害と化学物質過敏症について知っておくべき2つの真実
・香害や化学物質過敏症で生活が〇〇?聞いておきたい14の疑問と答え
・もし香害等から化学物質過敏症になってしまったら?
残念ながら、現実は砂糖1粒の甘さもない過酷なものでした。
もし、これが自分や家族の身に起きてしまったら…?けして他人事とは思わずに。心の準備ができたら、どうぞ読んでみてください。
香害と化学物質過敏症について知っておくべき2つの真実
香害などに起因する化学物質過敏症は、お世辞にも認知度の高い病とはいえません。
そして一度発症すれば、その後の人生に大きく影響するという深刻さと現実の認知度がちぐはぐしている病でもあります。
深刻なわりに、確かな情報が目にはいる機会は余りにも少ない。ゆえに、自然とこんな声が聞かれるようになりました。
香害や化学物質過敏症に関する疑問
- 香害はマスクで防げるのでは?
- 化学物質過敏症は治療できない病なのか?
果たして、真実はどうなのでしょうか。
香害にマスクは「効果なし」!?
昨今、大規模感染症の影響もあり、日常を過ごすほとんどの人がマスクを着用するようになりました。
不織布にガーゼ、布にウレタン…未知のウィルスへの効果はともかく、どんなマスクでも必ず鼻と口は覆われているものです。
香害の原因となる合成香料など化学物質で体調が悪くなるなら、鼻と口にフィルターがかかるマスクは効果的なのでは?実際、どうなのでしょうか。
残念ですが、どこでも買える一般的な不織布マスクに香害を防ぐ効果は期待できません。
その理由は2つ。
一般的なマスクでは香害は防げない2つの理由
- 大気中の微小粒子状物質を防ぐ高性能マスクが必須
- マスクと顔の間にわずかな隙間も許されない
マスクは、そのフィルターの性能によって防げる物質や量が大きく変わります。
花粉のサイズは、およそ30.0µm(ミクロン)前後。
そして、よく見かける『香りが長続き』する香り成分は『はじける前』が花粉と同じ30.0µm、『はじけた後』が2.0~3.0µmと言われています。
1µm=0.001mmです。
- 人間の髪の毛:直径約70.0µm
- 花粉:30.0µm
- 人の細胞:10.0µm
- 飛沫:3.0~5.0µm
- 細菌:1.0µm
- タバコの煙:0.1µm~1.0µm
- インフルエンザウィルス:0.08~0.12µm
大気中に浮遊する微小粒子状物質のうち、サイズが2.5µm以下のものが「PM2.5」にあたります。
つまり、香害の原因となる香り成分を防ぐには「2.0µm以下の微小粒子状物質を確実に遮断するマスク」が必須。花粉対応やPM2.5対応マスクでは、全く役にたちません。
N95マスクや同等の性能をもつDS2マスク、PFE99%マスクでようやく香害による被害や化学物質過敏症に役立つんですね。これが、1つ目の理由になります。
N95マスク:0.3µm以上の粒子を95%以上捕獲
DS2規格マスク:N95と同等の性能
PFE99%マスク:約0.1µm以上の粒子を99%捕獲
そして、どれだけ高性能なマスクでも、顔とマスクの間に隙間ができれば香り成分や他の化学物質がはいりこんでしまいます。
微量の化学物質で体調を崩す以上、その防御は完璧でなければいけません。
多くのマスクは細めのゴムだけで固定するため、何かの拍子にずれたり、顔にフィットせず隙間ができることが頻繁にあります。
どれだけフィルターが仕事をしても、これでは香害によって飛散する化学物質は防げないんです。
では、顔とマスクの隙間を常時ゼロに保ち、大気中の微粒物質を遮断できるマスクはあるのか?
現状では、有機溶剤作業用防毒マスクがこれにあたります。
有機溶剤作業用防毒マスクとは、こんな形のマスクです。「漫画や映画で見たことがある!」人がほとんどでしょうか。
プラモデルが趣味の方は、塗装時などで使用経験があるかもしれませんね。
しかし、これはお世辞にも日常使いに適しているとは言い難いでしょう。
着脱は大変ですし、重くて首がこるし、値段や維持費も高いし、何より見た目がすごく目立ちます。足元も見づらくて危ないし、水分補給するにも一苦労です。
元々医療や工事現場で使われるものなので、当然といえば当然ですね。生活圏内のお店でパッと入手できるモノでもありません。
このマスクを死ぬまで一生使い続けるにしても、よくある不織布マスクのような気軽さでは扱えないということです。
よって、香害には「一般的に売られるマスクは効果がなく」、「効果の期待できる防毒マスクは日常生活に適していない」。
香害を一生マスクで防いで生きていくのは、現実的ではないんですね。
化学物質過敏症は「治療」ができない?
香害とあわせて、耳にする機会が増えてきた「化学物質過敏症」。
香害による体調不良は化学物質過敏症の1つと言われており、どちらもその原因や症状が似ています。
そして、共通して聞こえてくるのが「香害などに起因する化学物質過敏症は治療できない」という言葉。
風邪やインフルエンザなら、病院で処方された薬や市販薬を飲んで安静にしていれば大方治りますよね。どういうことなのでしょうか?
実は、香害などに起因する化学物質過敏症は、現状完治する方法がありません。
本記事では、完治(かんち)と寛解(かんかい)という言葉について、次のような意味で使用しています。
完治:化学物質過敏症が完全に治った状態。化学物質をどれだけ取り込んでも生涯同様の症状がでることはない。
寛解:化学物質過敏症の症状が治まり、発症前に近い生活を送れる程度に体調がおだやかになった状態。化学物質への耐性は変わらず、取り込めば体調は悪くなる。
私たちの体は、取り込まれた化学物質を体外へ排出するようにできています。
その日の分はその日のうちに排出できれば良いのですが、年々その量や強さが増加する化学物質には追いつけず…。
意識して取り込む量を減らさない限り、徐々に体内に蓄積されてしまうんです。
その蓄積量が本人の許容量を超えたことで、体にアレルギーのような症状が出るのが化学物質過敏症なんですね。
つまり、化学物質過敏症の症状は「体が正常に働いているからこそ起きる症状」。正常な働きを『治療』する、ってそんな治療はないんです。
これは、花粉症に少し似ていると思います。花粉症は花粉に体が反応して目のかゆみやくしゃみが辛くなったとき、病院でかゆみ止めや鼻水止めをもらいますよね。
でも、体が二度と花粉に反応しなくなるような「花粉症自体の治療」はありません。その反応は、限りなく正常だからです。
そして、治しようがないから花粉のシーズンが終われば症状は落ち着き、また始まれば薬でおさえることになる…。対処療法しかできず、これを完治とは呼ばないでしょう。
香害による体調不良や化学物質過敏症は、原因である化学物質をひたすら避け続けることで寛解を目指すことはできます。
あるいは、体内の化学物質の排出を積極的に促すような生活を送ることでも回復は見込めるでしょう。
しかし、それは化学物質過敏症を根本から治し、生涯化学物質による症状が出ない体に治療できるものではありません。
現状は「完治」ではなく、寛解を目指すしかない。
一度発症すれば、一生付き合うことになるのが化学物質過敏症なんですね。
香害や化学物質過敏症で生活が〇〇?聞いておきたい14の疑問
現代の医学では治療が叶わず、ひたすら化学物質をさける生活を強いられる化学物質過敏症。実際に発症すると、生活はどう変わってしまうのか?
「香害による体調不良や化学物質過敏症になると〇〇!」とウワサされる14の疑問について、詳しく調べてみました。
もし自分や家族や恋人が、その立場だったら?想像しながら読んでみてください。
仕事を失う?働けなくなる?
これは、かなり可能性が高いと考えられます。
香害に限らず、化学物質を取り込まずに働ける職場は現代において相当珍しいからです。
一般企業を例に考えてみましょう。
オフィスって密閉空間であることが多いですよね。自社ビルならまだしも、賃貸では思い切り換気することも難しいでしょう。
この場合、同僚や取引先、来客から飛散する大量の化学物質は逃げ場もなく、その場に残り続けます。
人から飛散しやすい化学物質(一例)
- 同僚や来客の洗剤や柔軟剤の香り
- 同僚や来客のシャンプーやトリートメント
- 同僚や来客の整髪料
- 同僚や来客の香水
- 書類やプリンターのインク
- 消毒用エタノール
- トイレの消臭剤や芳香剤
- 食器や掃除用の洗剤
個人でその強さや量は違いますが人数が多ければ多いほど、その空間の化学物質濃度が高まるのは容易に想像できます。
これを自席で逃げることもできずに取り込み続ければ、症状の悪化はまず避けられません。
接客業や自営業も同様に、お客様や仕事内容から長期的に化学物質にさらされることが推測できます。
軽い頭痛程度ならともかく、動けなくなるほどの症状が出れば仕事どころではないですよね。防毒マスクなど最終手段もありますが、無理を通せばなお体に響いてしまうでしょう。
化学物質過敏症は知名度の低さから精神病と誤解されることも多く、職場の理解をえられずに退職する人も少なくないようです。
また、理解してくれる職場に巡り合えたとしても、普段通りに働けるよう配慮してもらうのは困難を極めます。
原因物質や症状を全て本人が把握していることは稀で、雇う側も雇われる側も手探り状態。あちらを配慮してもらったら今度はこちら…なんて、否が応でも後出しになることも多いでしょう。
こうなると言う側もしんどいし、言われる側も大変です。結局改善しきれず、申し訳なさから辞める人もいると考えられます。
ただ生きていくためにも働きたいのに、働けない。辛いですね。
学校に通えなくなる?
これは、香害による体調不良や化学物質過敏症を子どもが発症してしまった場合のお話ですね。
症状の程度にもよりますが、これも可能性が高そうです。
化学物質過敏症は、発症する要因に年齢や性別、既往歴や持病との関係性が見出されていません。花粉症のように「ある日突然誰がなってもおかしくない」んです。
当然、それは子供でも同じこと。実際に香害による体調不良や化学物質過敏症に苦しみ、学校に通えなくなった子供は少なからず実在します。
言葉で説明するより、こちらの動画を見た方が早いでしょう。可能なら、音声ありで。4分程度なので、さっと見られます。
誰でも発症する可能性がある“化学物質過敏症”。化学物質のにおいがついた家を捨て、家族からも孤立してしまうことも…。https://t.co/EKjXzdk891#化学物質過敏症
■NNNドキュメンタリーの名作を3分でhttps://t.co/CxRi20Sttd
※2019年2月、テレビ金沢で制作したものをリメイク pic.twitter.com/h5aiVv9QDT
— the SOCIAL / ポジティブニュースをお届け📪 (@thesocial24) January 10, 2020
校舎の中は、私たちの想像以上に化学物質から逃げる手段がありません。
合成洗剤や柔軟剤で洗濯された持ち回りの給食着、クラスメイトの服やシャンプー、真新しい教科書やプリントのインク…。
授業中は身動きがとれませんし、ひたすら耐えれば耐えた分だけ体に跳ね返ってしまう。次第に思うように動けなくなり、学校に通えなくなってしまうんです。
まだ年端もいかない子供や思春期の盛りの発症は、大人がなるより何倍も辛いものでしょう。
理屈や理由を理解し、自力で対応し、自分の中である程度落とし前をつけられる大人とは違う。どんなに幼くても、何重ものマスクをしなければ外にすら出られない。
『お友達は当たり前にしていることがどうして私にはできないの?』
『どうして私だけ校舎にはいると息が苦しくなるの?』
『どうしてお友達に近づくと頭が痛くなるの?どうして、どうして…。』
『化学物質さえなければ、普通の子どもなんですよね』
この言葉の意味や重さは、お子さんがいる方には特に伝わるのではないでしょうか。
公共交通機関を利用できなくなる?
これは「ケースバイケース」のようです。
通勤ラッシュの時間帯に限らず、常に人流の多い地域の公共交通機関の利用はかなり難しいと考えられます。
駅やバス停ごとに多少空気が入れ替わるとはいえ、人の多い車内は相当な量の化学物質が常に飛散しています。当然、多くの人が座った席や握るポールにも化学物質がべったり。
香害で体調不良になる人や化学物質過敏症の人ではものの数分でノックアウトされ、移動どころではないでしょう。
一方、人流がそれほど多くない時間帯や利用客が少ない路線であれば(本人の体調にもよりますが)対策の上で利用は可能です。
曜日や時間帯はもちろん、移動時間はできる限り短く、その上で移動中に体調を崩したときに避難できる場所はあるか?
香害による体調不良や化学物質過敏症は、症状の種類や重さによって外出先で一歩も動けなくなることも珍しくありません。
意識があっても自分の状態を伝えることが難しいときのために、ヘルプマークやヘルプカードを携帯している人も多いようです。
ヘルプマークとは
義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです。
出典:東京都福祉保健局
ヘルプカードは書き込む欄が少なめなので、並行してヘルプカードを使う人も多いです。どちらも各自治体で入手できます(無料)。
たまに売っているのを見かけますが、絶対買わないように!
また、化学物質を防ぐための防毒マスクも必須です。長距離移動や症状の重さによっては防護服が必要になることも。
立ち寄る場所は最低限に、とにかく無事に目的を達成して帰還するための事前シミュレーションが重要になります。
ここまで気にしないと安全に乗れないのでは「普段通りに利用できている」とは言えないですよね。
公共交通機関の利用に大きな制限がかかることは間違いなさそうです。
キャリアを失う?
先述したとおり、香害などに起因する化学物質過敏症は周囲の理解がなければ働き続けることが大変難しいです。
その理解をえることは簡単ではなく、どれだけ長く勤めた職場でも退職へ追いやられる人が少なくありません。
そのため、ある日突然化学物質過敏症になることでキャリアプランが破綻してしまう人は多いのではないでしょうか。
化学物質過敏症になると体に負担なく働ける職場や仕事を見つけることは至難の業です。
運よく100%在宅の仕事を見つけても、PC内外の化学物質や書類のインクなど解決すべき問題は山積み。
多少の無理は承知で仕事を決めても、色んな面から長く続けられない可能性が高いでしょう。
自然と職歴は長くなり、今までのキャリアはおろか、新しく何か築いていくことすら難しくなることは容易に想像できます。
もちろん100%不可能という話ではありませんが、現実的に考えれば「可能性は高い」のでしょうね。なかなかに厳しいです。
資産を失う?
香害による体調不良や化学物質過敏症によって、無収入になることはけして珍しくありません。
先述のとおり、香害などに起因する化学物質過敏症は職場の全面協力があったとしても問題なく働けることが厳しい病。
なにかしらの理由で職を離れてしまえば、次の収入源を見つけることは容易ではないんです。
化学物質過敏症の人が無収入になりやすい2つの理由
- 体調が回復せず、就職活動ができない
- 体調は回復したが、働ける職場が見つからない
香害など化学物質によって崩れた体調は、その原因物質から離れたら即回復…とはいきません。
「この治療法で確実に体内の化学物質を排出できるよ!」なんて方法は存在せず、ひたすら手探りで体調を整えることになります。
それまで使っていた日用品や生活環境をすべて見直し、最低限家にいられる環境を探り当てて…ここまで数年かかることも。
そもそも体調不良の原因が香害など化学物質であることに、すぐ気づけるのか?マイナーな病ですから、その時間も必要です。
香害による体調不良や化学物質過敏症は症状の多様さから誤診されることも多く、それがさらに療養期間を長引かせてしまいます。
傷病手当金や失業保険が入っても、それは一時的なもの。ある程度体調を回復できるまでの期間は、軽く見ても年単位です。
無収入の期間が長引くほど、資産を失わざるをえないのは明白でしょう。
今まで着ていた服が着られなくなる?
これは比較的想像しやすいですね。
合成洗剤や柔軟剤は洗濯で落とせないので、一度でも使えば衣類の繊維に成分が残留しています。
そして化学物質過敏症になると、自他区別なく合成洗剤や柔軟剤で体調を崩す人がほとんど。
つまり、今まで一度でも合成洗剤や柔軟剤で洗濯した服は、発症後一切着られなくなるんです。
その服がどれだけ思い出深くとも、お気に入りの一着であっても、着られません。着られないどころか、生活空間に置いておくことすら難しいでしょう。
合成洗剤や柔軟剤に使われる合成香料は、ほんのかすかな衝撃(室温の変化や振動・摩擦など)でも飛散し、大気中に漂います。
香害による体調不良や化学物質過敏症に「大気中の微量な化学物質」は厳禁ですから、ただあるだけでまずいというわけです。
ゴミ袋にでも密封すれば大丈夫かもしれませんが…昨今の「香り長持ち」は本当に強烈。袋を4重、5重にしてもダメだと思われます。
衣類から合成洗剤や柔軟剤を落とす方法については後述しますが、家中の服にこれを実践するにはかなりの時間が必要です。もちろん、お金も体調も奪われます。
残念ですが、まるごと捨てるほかないでしょう。服やおしゃれが特に好きな人には、本当に辛い現実です。
気軽におしゃれができなくなる?
これは男女問わず、おしゃれ好きな方は気になる話題ですね。
先ほどは「それまで購入していた服」が着られなくなる話ですが、では「これから購入する服」はどうなのでしょうか。
残念ながら、香害による体調不良や化学物質過敏症に苦しむ人はおしゃれに関するさまざまな面で制限がかかります。
店頭にしても通販にしても、購入した衣類をそのまま着用することが不可能にちかいためです。
まず店頭で売られている衣類は、来客や店員から飛散する化学物質が大量に付着しています。
店頭に並ぶ時間が長いほど多くの化学物質が繊維の奥まで染みこんでしまうので、購入してもこれを落とさないと着られません。試着なんて、もってのほかですね。
最近は感染対策でエタノールを手に噴射→そのまま商品に触れますから、衣類に染み込む量はなお増えていると考えられます。
繊維の奥までしみこんだ化学物質は通常の洗濯では落ちないので、実際に着られるまでに時間が必要でしょう。
一方、通販はその商品が個包装されていることがほとんどで、店頭販売のようなリスクは比較的少ないと思われます。
しかし、商品保全のために使われる防虫剤や梱包スタッフの合成洗剤や柔軟剤が付着して届くこともしばしば…。こちらも落とすまでは着られません。
購入前に逐一問い合わせていては「気軽に買う」とは言えないですよね。
さらに店頭や通販に限らず、抗菌や除菌加工済繊維が体調不良の原因になってしまうことも。
ただ服を購入するにもリスクを考慮して購入せざるをえないので、おしゃれを楽しむ余裕も自然となくなるかもしれません。
メイクやヘアメイクも、同様です。化粧品やスタイリング剤の成分に合成香料など化学物質が含まれているか、逐一気にする必要があります。
目・鼻や口など粘膜に近い場所や毛穴の多い頭皮に塗布するものですから、失敗すればダイレクトに体調に響くんです。
今はオーガニックコスメや天然ワックスなど種類が豊富ですが、自分が安全に使えるものを見つけ出すのは時間もお金もかかります。
もちろん、美容院のシャンプーやパーマ、カラーも今までのようにはできません。
これだけ制限がかかるとなれば「気軽におしゃれを楽しめなくなる」のは間違いないでしょう。
家に住めなくなる?
これには、3つの理由が考えられます。
今の住居に住めなくなる3つの理由
- 新築物件の建材等から発生する化学物質で体調不良に
- 合成洗剤など屋内に付着した化学物質で体調不良に
- 隣家など周辺から家に流れ込む化学物質で体調不良に
1つ目は聞き覚えのある人も多いのではないでしょうか。そう、シックハウス症候群の症状です。
シックハウス症候群
建物の気密性の向上により、建材や家具から発生する化学物質、室内で使用する殺虫剤等の化学物質等の室内濃度が高くなり、居住者に頭痛やめまいなどの体調不良が生じることがあります。このような症状をシックハウス症候群といい、その環境を離れると症状が改善されるのが特徴です。
出典:目黒区HP
香害に苦しむ人は、次第にさまざまな化学物質で体調を崩す(化学物質過敏症)ようになっていきます。
その「さまざまな化学物質」は、新築の建材や真新しい家具から放出される微量の化学物質も例外ではありません。
本来安心して過ごせるはずの家が、ある日突然24時間四方八方から化学物質を放出する装置になってしまう。体調を回復するには、家の外に逃げるしかないんですね。
2つ目の理由は、これまでお話してきたとおりです。合成洗剤や柔軟剤の成分(合成香料含む)は、わずかな衝撃(気温の変化や振動・摩擦など)で大気中に飛散します。
洗濯時はもちろん、干している間、たたむ時、着用中、衣替えなど入れ替え時など…。
そのタイミングで飛散した成分は大気中を漂い、天井、床、壁、机の上など家中に漂着してしまうんです。
中でも、特に厄介なのが「香り長持ち柔軟剤」。成分に瞬間接着剤のようなものが含まれているのか一度付着したが最後、驚くほどとれません。
他にも整髪料や掃除用スプレー、シャンプーなど、化学物質過敏症になると体調を崩す原因物質は家中に付着しています。
その全てを取り除かなければ、家にいても体調を悪化させるばかり。かといって、全てをなくすには時間がかかりますから、一時的にでも家の外へ避難する必要があるのでしょう。
そして3つ目の理由…これが一番の困りごとです。化学物質を放出する日用品を使うのは、隣家含む周辺の家も同じ。
洗濯のとき、お風呂のとき…近隣からは大量の化学物質が流れ込んできます。化学物質過敏症になる前はなんともなかったニオイが、今は毒ガスそのものになってしまうんです。
まさかお隣さんも、知らぬ間に自分が加害行為に及んでいるだなんて夢にも思わないでしょうね…。
事情を説明するにしても、自分でも全てを把握できないのが化学物質過敏症。職場への理解同様、近隣住民への理解を求めるのはさらに難易度があがります。
説明しても届かない、あるいは説明する気力もなければ、自分がその家から逃げるしかありません。お金も時間もかかりますが、命には変えられない。
これらの理由が、香害による体調不良や化学物質過敏症によって家に住めなくなる状況をうみだすようです。
全裸で家を飛び出すことになる!?
ここまでの話はすべて単独で発生するものではなく、同時進行で発生すると考えてよいでしょう。
つまり、「今までの服が着られない」と「家に住めなくなる」が同時に起きる可能性が少なからずあるんです。
実際には家族や友人に助けを求めれば、服を買ってきてもらったり、化学物質のない避難先を探してもらえるかもしれません。
発症時の症状が軽度であれば、徐々に悪くなる体を引きずりながらでも家の中を整えることができるかも。
しかし、症状が最初から重かったら…香害や化学物質過敏症という言葉も知らず、症状の原因が全く思い当たらなかったら?
『どの服を着ても胸が締め付けられるように痛い!』
『家のどこにいても息苦しい!体が楽な場所がない!』
『シャンプーが、食器用洗剤が、洗濯物が、好きなはずの香水がつらい!』
大パニックですよね。ある日ある瞬間から突然こうなるんですから。特にこどもは、幼ければ幼いほど混乱が増すと考えられます。
命を守ろうとする本能が服を脱がせ、家の外に逃げる行動をとらせる可能性は十分ありうるでしょう。
さすがに発症時点でここまで重い人はそう多くない…と思いたいです。
外出できなくなる?
先述のとおり、香害による体調不良や化学物質過敏症に苦しむ人にとって公共交通期間の利用は相当な覚悟が必要です。これだけでも、気軽に外出できるとは言い難いでしょう。
それに加えて、ただ外を歩くだけでも体調を崩す要因はこんなにあるんです。
外出時に体調を崩す原因(一例)
- ベランダに干される洗濯物
- 住居から流れ出る排気(浴室や台所など)
- すれちがう人の衣類に使われた洗剤など
- すれちがう人のシャンプーや整髪料など
- 屋内で使われた消毒用エタノール
- 散布される農薬・除草剤など
- 工事現場の塗料・建材など
- 交通量の多い場所の排気ガス etc
こうなると人の多い場所はダメですし、交通量の多い地域も除外、化学物質の濃度が上がりやすい屋内も危険ですね。建設現場や畑の近くも避けないとまずいでしょう。
敷地が広く、風通しがよく、人が少ない(またはゼロ)の場所が望ましいですが、そんな場所見つけるのも一苦労です。
優雅にウィンドーショッピングなんて、夢のまた夢。イベントどころか必要最低限の買い物ですら「気軽に外出」できなくなるのは間違いないでしょう。
人間関係を失う?
化学物質過敏症は社会の認知度が低く、とにかく理解されにくい病です。それは職場に限らず、私生活でも同じこと。
家族や友人、恋人や趣味仲間…長く深い間柄があっても、発症を機に疎遠になってしまうケースは多いんです。それはなぜなのか?
ある日、長く縁のある人から「化学物質がつらい。自分のために生活の一部を変えてほしい」と言われたら、あなたはどうしますか?
後者の方が断然「楽」ですよね。『お気の毒に』。そう言って静かに離れればいいんです。自身も発症リスクを抱えている現実は見て見ぬフリ、何事もなく「今」に戻れます。
実際は『何をすれば助けになるのか?』聞いてくれる人もいるかもしれません。それに応じて、発症者側も体調不良を招くものや逆に安全なものを伝える努力をすると思います。
しかし、その上で関係を捨ててしまう人もいる。死に物狂いで伝えたのに、と発症者側も徐々に新たな関係をもつことを諦めてしまいます。
気軽に外出もできず、体調の悪い日が続けば、自分以外の誰かに会う気力すら削がれて…。こうして、香害など化学物質に苦しむ人は自然と孤独へ追い詰められてしまうんです。
もちろん、あなたを置いて離れていく人とは「所詮その程度の関係だった」のでしょう。
前者のように『誰かを傷つけてまでこだわるものではない』と、自分の生活を見直してくれる人も少なからずいます。
結果的にその行動は発症リスクをおさえ、未来の自分や家族を守ることにつながっていく。けして一方的な助けではないところが、なんともよくできていますね。
香害や化学物質過敏症が人間関係を喪失させてしまう最も大きな要因は「周囲の当事者意識の欠如」なのかもしれません。
人生設計が崩れる?
仕事を失い、キャリアを失い、外出の自由も人間関係も失って…人生設計が崩れていない人なんているのでしょうか。
香害による体調不良など化学物質過敏症は、誰もが思い描く権利がある未来の自分をたやすく奪っていきます。
仕事は職場の理解がなければ難しく、外出もままならない体では顔をあわせるような出会いは望めません。
出会いがなければ、友人との交流以外に恋愛や結婚の可能性も下がりますよね。当然、子どもをもつ未来も…。
すでにパートナーや子どもがすでにいる人は、化学物質過敏症の影響が家族にまで及びます。
家族で一致団結して生きていければよいですが、理解不足から一家離散してしまうケースも珍しくないんです。
また、香害など化学物質に苦しむ人には、まだ年端もいかない小学生や思春期真っ盛りの中学生もいます。
勉学に励み、友情をはぐくみ、自身の地盤をつくっていく大切な時期なのに、その期間がまるまる失われてしまう。
ある程度解釈や納得ができる大人とは違い、その喪失感は想像を絶するものでしょう。
中学校までは本来得るべき教育を得られないということになりますから、そのフォローにも苦労すると思います。
もちろん、なにもかも100%実現不可能になるわけではありません。しかし、発症前と比較してはるかにハードルが上がってしまうことは揺るぎない事実のようです。
心を病んでしまう?
化学物質過敏症は、現時点で明確な治療法や治療薬がありません。そして、周囲の理解をえることが難しく、生活の自由を大幅に奪われてしまう病です。
それゆえに、過酷を超えた生きづらさから精神をやんでしまう人は少なくないと考えられます。
花粉はせいぜい1~2シーズンですが、大気中の化学物質は24時間年中無休。香害などによって一度発症すれば、うっかり気を抜けない日々がその人生の終わりまで続きます。
四六時中気が抜けず、抜いた途端に体調が崩れる生活が健康な心を次第に壊していくことは想像に難くありません。
そこへ追い打ちのように襲いかかる周囲の無理解から生じる孤独…。あまりに辛い日々に自ら命の火を消してしまう人もいます。悲しいですが、それほど辛い病なんです。
化学物質過敏症は、精神病ではありません。
しかし、その辛さを訴えるSNSやニュースの声に精神的な重さが見えたなら、それはこんな理由なのだと覚えておくとよいでしょう。
身体障害者になる?
化学物質過敏症は、障害年金の対象です。
「障害年金」は、原則20歳~64歳の方が対象で、病気や事故のため障害を負った方に対して、国が支給する年金制度です。65歳以前に初診日があり、日常生活や仕事に支障がある方に対して支給されます。
香害は化学物質過敏症の1つですから、香害で苦しむ人も化学物質過敏症の診断がおりれば障害年金の申請自体は可能です。
もちろん、受給要件や実際に審査を通れるかなど心配事はありますが…。
働き続けることが難しい病なので、生活費のサポートとして障害年金がおりれば安心して療養するための材料の1つになりますね。
障害年金の新規申請に必要な診断書は、その障害の種類によって書式が変わります。
・様式第120号の1 (眼の障害用)
・様式第120号の2 (聴覚、鼻腔機能、平衡機能、そしゃく・嚥下機能、言語機能の障害用)
・様式第120号の3 (肢体の障害用)
・様式第120号の4 (精神の障害用)
・様式第120号の5(呼吸器疾患の障害用)
・様式第120号の6-1(循環器疾患の障害用)
・様式第120号の6-2(腎疾患・肝疾患、糖尿病の障害用)
・様式第120号の7 (血液・造血器、その他の障害)
精神障害なら4、身体障害ならそれ以外、といった感じですね。化学物質過敏症は、様式第120号の7が該当します。
当然ですが、種類を間違うと申請は通らないので注意(作成する診断医が間違うことは相当稀ですが)。
ここで、1つの疑問が浮かびます。
答えは「NO」。たとえ障害年金の審査が通ったとしても、障害者手帳は取得できません。
化学物質過敏症は、障害者手帳の対象ではないからです。
障害者手帳は障害をもつ人すべてが取得できるものではなく、身体・精神それぞれ対象者の範囲が決まっています。
障害年金と障害者手帳の違い
管轄:日本年金機構
受給要件を満たし、申請すれば審査を受けられる
全国分の審査を日本年金機構で行うため、結果までに時間がかかる
生活費フォローの意味合いが大きい
障害の重さや年金の納付率、それまでの収入など金額の決定理由が複雑
20才以上から受給可能
診断書の種類:様式第120号の7(血液・造血器、その他の障害)
他に初診日証明書類や照会様式が必要
管轄:各地方自治体
取得できる障害の種類は限られている(身体は身体障害者福祉法に定められた範囲の障害に該当する人のみ、精神は必要な書類がそろえば申請OK)
自治体によって支給条件が違う
取得すると交通や税金、医療など金銭面でフォローを受けられる
障碍者雇用枠で働くときに必要な企業が多い
化学物質過敏症は対象外(2021年12月時点)
それぞれ管轄も支給条件も違うので「片方に該当するなら両方該当するわけではない」んですね。
実際に障害年金を申請するかしないかは、個人の判断によるところが大きいでしょう。なぜなら、現在化学物質過敏症の診断書を出せる医療機関は全国で数件しかないからです。
公共交通機関の利用も難しいのに、遠方まで診断を受けに行くとなれば相当ハードルはあがると考えられます。
身体障害年金を受給しているなら、身体障害者といっても間違いはないのでしょう。しかし、実際に化学物質過敏症の人が全員受けられるかといえば、話は別のようです。
もし香害等から化学物質過敏症になってしまったら?
「自分がどれだけの化学物質を受け止められる体なのか?」なんてことは、この世の誰にもわかりません。許容量の器は目に見えず、検査など知る方法は現状ないからです。
でも、必ずどこかで限界はやってくる。
いつか自分が「香害による体調不良や化学物質過敏症になった」ら、どう行動するのがベストなのでしょうか。
大事なのは「1つでも化学物質がだめになったら、すぐ行動」すること。
化学物質過敏症の1つである香害は、その原因物質が合成香料だけですよね。しかし、そのまま何もせずにいれば反応する化学物質の種類がどんどん増えてしまいます。
そして気づいた頃には家や他人から放出される大量の化学物質で体が動かなくなり、にっちもさっちも行かなくなってしまうんです。
発症時の重さがどれくらいなのか、それはその時にならないとわかりません。突然動けなくなる人もいれば、まだ軽い頭痛や空咳程度で済む人もいます。
症状が軽いうちに、あるいは発症する前に、自分が無事に生きていくための準備をしておきましょう。
衣食住の確保を最優先に
とにもかくにも、まずは自分が生存するための衣食住の確保が重要です。
【衣】
- 安全に着られる衣類の確保
- 今までの衣類をどうするか決める
【食】
- 農薬や食品添加物への反応を確認する
- 比較的利用しやすいスーパーを探す
【住】
- 家から徹底して化学物質をとりのぞく
- 自力で動けなくなった時のための準備
原則「どれがセーフでアウトなのか」は、自分の体で実験するしかありません。体調がどれだけ悪化しても、です。
衣類については、今着るための服とすでに所持している服への対応が必要になります。
購入したばかりでまだ一度も洗濯をしていない服なら、とりあえず着られるかもしれません。
すでに何度か合成洗剤や柔軟剤で洗濯した服については、衣類に残留する化学物質を取り除かない限り、症状の悪化はまぬがれないでしょう。
潔く廃棄するのがシンプルに安全ですが、どうしても捨てられない衣類については合成洗剤や柔軟剤の除去を行う必要があります。
食事については、できる限り無農薬の野菜や無添加の調味料などを選びましょう。
農薬や食品添加物への反応は個人によりますが、現時点でダメじゃないものも避けておくのが賢明です。
また、最も大変なのが住環境を安全な場所に整える作業です。「家から徹底して化学物質をとりのぞく」ってどうすれば?
そんな人は、こちらの記事を参考にしてください。
「家の中の化学物質を取り除くこと」「新たに化学物質を持ち込まないこと」。この2点について役立つ情報をまとめてあります。
しかし、どれだけ対策を講じても突然脱力や痙攣など自力で症状を説明できない状況は起こりえます。
そんな時のために、ヘルプカードを常備しておきましょう。化学物質過敏症に対する治療ができないとしても、自分の症状の理由や程度を伝えるのに大いに役立ちます。
そして、とても重要なのは「この内容を家族や友人と共有しておく」こと。自分が指先1本動かせない状態になったら、自分以外の誰かに助けてもらうしかありません。
香害などに起因する化学物質過敏症は、誰もが平等に発症リスクを負っています。他人事と思わず、一度話す機会をもうけておくと安心ですね。
香害や化学物質過敏症の「本」を読もう
香害や化学物質過敏症について、インターネットでえられる情報は正直少ないです。病自体が未解明な部分が多く、発症の度合いもさまざま。
認知度の低さや情報不足を利用した悪質な記事も、残念ながら見かけるようになりました。(「これなら香害になりにくいですよ」と合成香料入りや化学物質メインの商品を紹介するなど)
なので、「何も知らない」「わからない」うちに香害や化学物質過敏症に関わる本を読んでおくことをオススメします。
専門家がわかりやすい解説や実際に発症した人の体験談など「わからなくてもゼロからイメージしやすい」本がこちらの3冊です。
自分や家族の身を守るために正しい知識を仕入れておくことは、十分に化学物質過敏症の対策になります。
すでに発症してしまった人も、生活や今後の生き方を考えるためのヒントになりうるでしょう。
インターネットの波にのまれて混乱しそうになる前に、正確な情報を身に着けておきたいですね。
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いつか障害年金を申請するなら?今からできる3つのこと
そんな人も、自力で動けるうちに障害年金申請の準備を少しずつすすめておくことを強くオススメします。
なぜなら障害年金の申請は内容が複雑で、かなり難易度高めな作業になるからです。
正直、発症してからこの作業をすべてこなし、申請するのは相当大変です。ましてや、体調を崩していれば正確な内容で申請することも難しいかもしれません。
まだ働けているなら身構えなくともよいですが、日々の負担にならない範囲で少しずつ始めておきましょう。
「実際に申請することになったら役に立つ」3つの行動がこちらです。
障害年金の申請に役立つ3つの行動
- 症状が出た日や状況をこまめに記録
- 通院や処方の履歴はまとめておく
- 化学物質過敏症の診断が出たら必ず病院名と医師の名前を控えておく
化学物質過敏症は、本当にさまざまな症状がでる病です。そのため、原因が化学物質だと気づかずに喘息やストレスなど誤診されるケースも珍しくありません。
しかし、処方された薬では改善せずに症状も悪化すれば、自身でなにかしらの違和感を抱くはず。
後々専門医に診断書を依頼する際に役立つよう、できる限り詳細を記録に残しておくとよいでしょう。〇月〇日、どこでどんな状況でどんな症状がでてどれくらい続いたか…。
お薬手帳に日記をつけるような感覚で詳細を書き込んでおき、目に見える皮膚症状などあれば写真をとっておければベストですね。
また、障害年金の申請には「初診日を証明する書類」が必要になることがあります。
初診の医療機関と、現在の医療機関が違う場合、初診の医療機関で「受診状況等証明書」を書いてもらう必要があります。初診の医療機関からずっと変わらずに同じ医療機関に通院している場合は、原則として「受診状況等証明書」は必要ありません。
化学物質過敏症は確定診断を出せる病院が少ないため、初診を受けた病院と診断書を作成してもらう病院が異なることが多いです。
初診日を証明する書類がなければ診断書が用意できても申請できませんから、必ず詳細を控えておくことをオススメします。
なお、初診日が不明な場合でも別途書類(受診状況等証明書が添付できない申立書)を準備することで申請は可能です。
ただし、ただでさえ煩雑な申請ですから、手間は一つでも少ない方がよいでしょう。
障害年金に頼らなくても良い程度に症状がおさまれば、それに越したことはありません。
しかし、花粉と違って大気中の化学物質は24時間年中無休。なんの対策もしなければ(あるいは、していても)いずれ症状が悪化することは十分考えられます。
できることはできるうちに、早めの行動が大切ですね。
まとめ|放置が一番危険!できることから始めてみよう
香害や化学物質過敏症について調べていくと、私たちが想像するよりずっと生活への影響が大きいのだとわかりました。
この記事でご紹介したお話は、明日突然自分や家族の身にふりかかるかもしれない現実です。
お隣の洗濯物や浴室から流れこむニオイ、すれ違う人から飛散する柔軟剤や香水、換気の難しい商業施設にこもる様々な化学物質…。
その全てを避けて「普通に」生きていくのは、本当に難しい時代です。
それでも、自分の身を、家族を、友人を、大切な人を守るためにもできることはあるはず。
その方法については、こちらの記事にまとめてあります。
思い立ったが吉日。今知ったことを無駄にしないよう、一緒にできることから始めていきましょう。