引っ越しをする時、新居探しや各種手続きのほかに「現住居をどうするのか?」を考えなければいけません。
実家など現住居に自分以外の住居人が残るのであれば、特にすることはないでしょう。
しかし、現住居が賃貸物件かつ住居人が自分だけの場合は、現住居の賃貸物件を退去する手続きが必要になります。
では、退去するにはいつまでにどんな手続きをすればいいのでしょうか。
この記事では、
・賃貸を退去するために必要な8つのこと
・スムーズに退去するために今からできる2つのこと
について、解説していきます。
あわせて引っ越しや部屋探しにお役立ちの記事もご紹介していきますね。
賃貸を退去するために必要な8つのこと
賃貸物件を退去するときは、次の流れですすめていきます。
人によって引っ越しに使える日数が違うので多少予定が前後することはありますが、必要な手続きや作業はおおかた同じです。
・不動産会社へ退去の旨を伝える
・各スケジュールの調整
・引っ越しに必要な手続きをすませる
・火災保険の解約手続き
・荷造り
・引っ越し作業・退去立ち合い
・敷金精算
・ライフラインの日割計算分の確認
順番にみていきましょうね。
不動産会社へ退去の旨を伝える
引っ越しが決まったら、すぐ現住居の退去手続きをはじめます。
手続きの時期・内容については、こちらの記事に詳細をまとめました。
不動産会社へ解約の旨を伝えるために、解約通知書を提出します。この解約通知が受領された日から最終賃料発生日が計算される点に注意しましょう。
郵送事故など、解約通知の受理が遅れてしまうと、余分に日割り家賃を払うことになります。可能であれば、不動産会社の店舗へ直接持ち込めると確実で安心ですね。
解約通知受理後、退去予定日や最終賃料発生日が明記された書類が届きます。
入居時に取り交わした契約書に記載のある解約予告期日と記載内容が、しっかり合致しているか確認しましょう。
各スケジュールの調整
次に、退去日までにやらなければいけないことを確認し、スケジュールを調整します。
人によって退去までの日数が違うので、余裕のない人ほど確実にすすめられるスケジュールをたてましょう。
引っ越しが確定した日から、退去日(最終賃料発生日)までに調整したいスケジュール内容は、次のとおりです。
・引っ越し日、新居への移動時間(日数)
・退去立ち合い日時
・荷造り期間
・各所への手続きをする日
・ライフラインの停止手続き(立ち合い含む)
・引っ越しに助っ人を呼ぶ場合の日程決め
この中で特に注意したいのが、退去立ち合い日時と荷造り期間です。
荷造りが間に合わない=引っ越しが始められないので、荷造りする時間は必ず確保してください。
また引っ越しが無事できても、現住居の退去立ち合いが完了しない限り、正式な退去に至りません。
退去立ち合いの場で鍵を返却できないと、退去したはずの物件に自由に出入りできてしまいますからね。
退去が後に延びれば、その分日割家賃が発生する可能性がでてきます。また、退去予定にあわせて次の入居予定がすでにあるなら大問題です。
この2つについては最優先でスケジュール調整しておきましょう。
なお、役所など直接出向く必要のある手続きについては、万が一予定通りにいけなかった時のための予備日を設けておくと安心です。
引っ越しに必要な手続きをすませる
引っ越しに伴い、住環境に関係する身元証明や公共機関など手続きが必要になります。
次の2つについて詳細をまとめてありますので、各記事を参考に期限までに手続きを済ませておきましょう。
火災保険の解約
現住居に入居する際、火災保険(+地震保険)を契約していれば、そちらも解約します。もう住まない部屋で何か起きたときのための保険を維持しておく必要はありません。
各保険会社へ退去日を連絡し、指示通りに手続きをすすめればOKです。手元に保険証券を用意しておくとスムーズですよ。
保険期間の残月数分が返金されますが、手数料分少ない金額で戻ってくることがほとんどです。返金内容に関しては書類に必ず明記されますので、よく見ておきましょう。
荷造り
当たり前のことですが、退去するにあたり現住居には私物は一つも残せません。ゴミ1つ残さずにしっかり荷造りしておきましょう。
スムーズな荷造りのすすめ方については、こちらの記事にまとめてあります。
引っ越し作業・退去立ち合い
引っ越し当日の作業・退去立ち合いについては、こちらの記事を参考にどうぞ。
荷物の搬出と退去立ち合いがすめば、現住居で行うべきすべてが完了…と思いがちですが、実はもう少しだけ続くんです。
敷金精算
退去立ち合い時に見積った原状回復・クリーニング費用は、物件の持ち主である大家さんや不動産会社の了承がとれると確定します。
基本見積時から金額が動くことはありませんが、もし変更があれば説明を求めましょう。
敷金の精算内容が完全に確定したら、書面・メール等で手続きがすすみます。
およそ退去後1ヶ月程度に完了しますが、繁忙期などなかなか連絡がつかない時は手続きが遅れがちです。そういう時は、こちらから連絡しちゃってOKですよ。
退去時の費用って減額交渉できるの?
100%無理ではありませんが、かなり難易度は高いです。
大手不動産会社の場合、退去立ち合いやクリーニング業者など下請が行います。
そこにかかる金額は、大元である不動産会社が規定を設けていることがほとんどです。
そのため、入居者が直接顔を合わせる業者さんの一存で変えられず、交渉しても相手を困らせるだけで終わるでしょう。
また、この手の費用は上下に連なる会社の数が多いほど、費用も高くなりがちです。中抜きする会社が増えますからね。
ここはスパッと支払った方が、時間的にも手間的にも得策でしょう。
原状回復費用は入居中の工夫1つでゼロにすることも可能です。詳しくはこちら。
ライフラインの日割計算分の確認
ライフラインの利用停止日は、現住居の契約とは完全に別なのでそれぞれ好きなタイミングで止められます。
各停止手続きやオススメ時期については、こちらの記事をどうぞ。
停止手続きが完了すると、最終利用日までの日割分の精算が発生します。その際、今までの払い方と同じか、請求書払い(別途振込)にするか選べることが多いです。
払い方は都合の良い方で問題ありません。
停止手続きを忘れて、何か月たっても基本料金の請求書が届いてしまうのは避けましょう。
・引越前に電気・水道・ガスの停止手続きが完了しているか
・引越後1ヶ月程度で旧住居の精算に関わる書面が全て届いたか
この2点をスケジュールに入れておくと、確認漏れをふせげますよ。
スムーズに退去するために今からできる2つのこと
購入した物件と違い、賃貸物件は「借りものの部屋」です。個人それぞれの事情でいつか離れることが最初からわかっています。
長くても短くても住まわせてもらった場所ですから、スムーズにトラブルなく、お互い気持ちよく終わりたいものですよね。
そこで、入居時・入居中から「スムーズに退去するためにできること」について、まとめてみました。
「現況確認書」にしっかり書き込もう
賃貸物件に入居する際、不動産会社から契約書等といっしょに現況確認書がもらえます。
現況確認書とは、入居時点ですでに存在するキズ・はがれなど損耗を確認しておくための書類です。
不動産会社によって書式は異なりますが、提出日・間取り図・損耗箇所の記入欄の主に3つで構成されています。
新築でも築古でも、入居時点で次のような損耗がないか部屋の隅々まで確認してみましょう。
・床や壁のキズ、へこみ、剥がれ
・床や壁、設備のシミなど汚れ具合
・設備に不具合がないか
・建付け
・窓にひびなどないか
・ドアがきちんと施錠されるか
・ポストやベランダに破損がないか
気づいたところはすべて記入し、なおかつ写真を撮っておくと万全です。
記入後は不動産会社へ提出します。入居日から1週間以内の送付を目標にしましょう。
あまりに提出が遅いと、入居後についたキズではないか?と書類事態の信頼性が薄れてしまいます。
コピーをとって原紙を返却してくれる会社もありますが、念のために自分でも控えのコピーをとっておきましょう。
現況確認書は提出したら、次は退去立ち合いの時まで出番はありません。
この確認書に記入した内容は、退去時に見つかった損耗が入居前と入居後どちらに発生したものか判別するために使われます。
つまり、原状回復の費用負担を貸主がもつか、借主がもつか決める材料になるんですね。
トラブルを回避するためにも、余すところなくしっかり記入しておくのがオススメです。
「借りている部屋」に住む心得3ヶ条
原状回復費用の負担をゼロにする暮らし方と今すぐできる対策11選で解説した通り、原状回復費用の負担を免れるには入居中から注意して生活するに越したことはありません。
家具や家電の設置のほかに、次の3つについて意識しておきましょう。
掃除は「やりすぎない」?
賃貸物件は入居者が過ごしやすいよう、あらかじめ物件のあちこちに手が施されています。
ほとんどの賃貸では、フローリングのワックスがけが基本です。見目をよくし、フローリング自体の耐久値をあげることで痛みにくくしています。
また、浴室や洗面台の鏡に曇り止め加工を施して、使いやすくしていることもありますね。
このように施された加工は、きれいに使おうと気合をいれた掃除で、逆に損なわれてしまうことがあるのです。
・フローリングを拭き掃除したら、ワックスが剥がれてしまった
・浴室のガラスを丁寧に掃除していたら、曇り止め加工までそぎ落としていた
・シンクのカビを落とそうとして熱湯を使用したらへこんで戻らなくなった
・力をいれて壁紙をこすったら破けてしまった
・ヘラで汚れを落としていたら、木目にヒビがはいり、えぐれてしまった
部屋をきれいにしようとして部屋を破壊してしまった、なんて笑えない話ですよね。
毎日のお掃除は、適度な頻度と力加減をこころがけましょう。
「集合住宅」を常に意識しよう
集合住宅は、自分以外の誰かと同じ建物を住居として共有しています。
そのため、他住人や大家さんに迷惑をかけて心象を悪くすることのないよう、次の3つに気を付けたいところです。
・騒音
・ゴミ出しルールの順守
・共用部はきれいに使う
物件の建材や構造にもよりますが、足音・物音・テレビの音・大声など想像以上に響くものです。慣れてくると気も緩むものですし、気にしすぎるぐらいでちょうどいいでしょう。
また、よく近隣トラブルになりがちなのがゴミ出しです。
ゴミ出し場は複数の家庭で共有するものですから、ルールを守らない人間がいれば当然いい顔はされません。曜日を守らなかったり、指定のゴミ出し場以外にゴミを放置したり…。
近隣住民と顔をあわせやすい場所ですから、悪いことはすぐばれます。ルールはしっかり守りましょう。
近隣住民と顔を合わせやすいもう一つの場所といえば、共用部です。共用部に傘立てや折りたたみ自転車など私物を置く人がいますが、完全にNGなのでやめましょう。
近隣住民や大家さんからの印象が悪くなるほか、災害時の避難経路の障害物にもなりかねませんよ。
賃貸の損傷は「すぐに」「素直に」
どれだけ注意して過ごしても、人間に完璧はありません。ある時うっかりやらかして、青ざめることも一度はあると思います。
もし入居者であるあなたではなく、遊びに呼んだ友人がやってしまったとしても、あなたが契約する住居で起きたことです。
そんな時はすぐに素直に申し出ましょう。
下手に隠したりごまかそうとしても、退去立ち合いにくる人は何百件も見てきた手練れです。まずばれます。
壁紙のヤブレなどは張り替えるしかありませんが、設備の損傷等は早めに連絡すれば思ったより簡単に直せる可能性があります。また、早く伝えてしまう方が心象も良いですよね。
また、自分が原因ではないときも、すぐに伝えることは重要です。
台風など災害で突然今までにない雨漏りなど起きることはけして珍しくありません。その状態を放置すれば床や壁への被害は必至です。
この程度なら…とそのままにせず、すみやかに連絡しましょう。
まとめ|「立つ鳥跡をにごさずに」
賃貸を退去するときに必要な手続き・役に立つ情報をご紹介しました。
「借りたものを返す」のは当たり前ですが、物件のようにさまざまな要因が重なるものはどうしてもトラブルが起きやすいです。
しかし、少しのこころがけでスムーズに退去できるならそれが一番ですよね。
気持ちよくスムーズに退去するために、この記事の情報が役立てば幸いです。