物価高騰の波にお財布の紐が固くなるなか、生活を維持するために嫌でも払わざるをえないのが水道光熱費。
なかでも夏・冬に爆発的に上がりがちな電気代は、どの家計でも悩みの種ですよね。
そんな人のために、この記事では冬の電気代をおさえるための3つの簡単節約術についてご紹介していきます。
・あなたの電気代は高い?低い?一人暮らしの電気代が高くなりがちな2つの理由
・賃貸でもOK!知っておきたい冬の電気代をおさえる3つの節約術
気兼ねせず対策できるのは戸建てだけ?賃貸じゃ難しい?そんなことはありません!
一人暮らしでも大丈夫。あたたかな冬を迎える準備、一緒にすすめていきましょう。
あなたの電気代は高い?低い?一人暮らしの電気代が高くなりがちな2つの理由
そもそも、今あなたが払っている電気代は世間的に高いのでしょうか。それとも低い方なのでしょうか。
2020年の全国家計調査によると、一人暮らしの電気代の年間平均額は6,000円前後のようです。お手元の電気代料金表と比べて、いかがですか?
一人暮らしの平均的な電気代は月額5,791円
総務省が2020年に行った全国の家計調査によると、一人暮らし世帯の電気代の平均額は年額69,492円(月額約5,791円)です。
【季節別】平均的な電気代
季節に応じて電化製品の使い方が異なるため、電気代も変化します。2020年の総務省の家計調査によると、季節ごとの平均的な電気代は以下のとおりです。
季節 1ヵ月あたりの平均額 春(4~6月) 5,916円 夏(7~9月) 5,330円 秋(10~12月) 5,135円 冬(1~3月) 6,535円
電気代は利用量に比例して代金が上昇するので、当然同居人数が多い方が高くなります。
また、オール電化や寒冷地など他条件によっても大きく異なるため、一概に「電気代が高いのは〇〇のせい!」とも言いにくいです。
そんな人のために、異なる住環境でも共通して見落としがちな2つの電気代が高くなりやすい理由についてまとめてみました。
実生活に合わない家電を使っている
1つ目の理由は、こちら。
あなたが毎日使っている色々な家電…もしかしたら実生活に合っていないかもしれません。
具体的に「実生活に合っていない」と判断するポイントとは?主に、次の2つがあげられます。
実生活にあわない家電の2つの特徴
- 電気効率の悪い古い家電を使っている
- オーバースペックな家電を使っている
基本的に現代の家電は最新機種であればあるほど性能や電気効率が改善され、電気代がかかりにくい傾向にあります。
今や生命維持にも関わることから1台もない家庭はほぼなさそうなエアコンの電気代を見てみましょう。
☆ 2023年1月時点の電力料金目安単価は31円/1kWh
パナソニック(Xシリーズ)6畳用
発売年 | 型番 | 期間消費電力量 | 年間電気代 |
2023年発売 | CS-X223D | 594KWh | 18,414円 |
2013年発売 | CS-X223C | 612KWh | 18,972円 |
2010年発売 | CS-X220C | 658KWh | 20,398円 |
2006年発売 | CS-X226A | 689KWh | 21,359円 |
15年前の機種と比較すると、電気代の差は約3,000円にもなることがわかります。あくまで目安ではありますが、古い機種ほど電気代がかかってしまうのも見てとれますね。
家電は年々寿命が伸びつつあり、10~15年モノの家電を使っている人も意外と多いです。
しかし、だからといって15年前のエアコンを使い続けている人は電気代をかなり損している可能性が…。
その気持ちはよくわかりますが、電気代や修理の面からも標準使用期間(10年)を過ぎたら買い替えを検討するべきでしょう。
また、実生活に不要なオーバースペックな家電を使うのも、無意識に電気代がかさんでしまう要因の1つです。
洗濯を毎日大量にするわけじゃないのに12kgの洗濯機はいらないですよね。毎日自炊をしないなら、3ドアの大きな冷蔵庫も不要でしょう。
お気持ちはわかりますが、実生活で使いこなせない家電は知らぬ間に電気代をじわじわと増やす原因になってしまいます。
中でも、エアコンはオーバースペックになりがち家電第一位といっても過言ではない家電。今すぐお住まいに設置されているエアコンの畳数をチェックしてみて下さい。大きな無駄になってしまっているかもしれません。
エアコンの「畳数」はあてにできない?
当然ですが、約60年前の家と現代の家では断熱ほか様々な性能が段違いですよね。
それなのにエアコンの適用「畳数」表記は1964年に制定された基準から一度も変わっていません。
昔の無断熱住宅にあわせて記載された畳数表記をあてにして買うと、今の新築ではどうしてもオーバースペックになってしまうんです。
l畳数の表示は以下の2種類が存在し、各社カタログや店頭表示で使用される。
–「畳数のめやす」: (一社)日本電機工業会が定めた規格「JEM-1447」に基づき、冷 房・暖房それぞれの定格能力ごとに畳数の最小値・最大値の幅を規定している。
–「おもに畳数」:具体的な規格はなくメーカー判断で記載している値であるものの、概ね各社 とも近い値を記載している。
・「畳数のめやす」で引用している「JEM-1447」で想定する空調負荷は、1965年の空気調和・衛 生工学会規格「HASS 109-1965(冷房負荷簡易計算方法。以下、「旧基準」という。)」に 基づいている。(旧基準はS55年基準に満たない無断熱を想定している。)
「畳数が大きい分には問題ないのでは?」と思いがちですが、畳数の合わないエアコンはっきりいって燃費が悪いです。
車で例えるならエンジンをふかし続ける状態に近く、使えば使うほどランニングコストが上がります。
もちろんスペックが足りなくても思った効果をえられません。
自室のエアコンは「適正」畳数か?一度調べてみることをオススメします。
以上のことから、一人暮らしで最も電気代を効率よく使える家電は
- できるだけ製造年が新しい
- 生活や環境に沿う適正なスペックである
上記2点を兼ね備えた家電が実生活に見合う家電といって差し支えないでしょう。
最新機種なら中古品でもいい?
これ、気になりますよね。最新機種はどうしても値段が高く、少しでも節約したい!という気持ちから中古品を選択肢にいれたい人もいると思います。
家電の寿命は、長いもので10年。そのためか、フリマアプリなどで「中古の家電おゆずりします」「〇年のみ使用!新品同様」…よく見かけます。
機種が最新で、スペックも生活に見合っているなら中古品でも問題ないのでは?
残念ながら、以下の2つの可能性から中古品の家電はオススメできないのが実情です。
- 過去の使用環境により、見えない部分が著しく劣化していた
- 搬送時などの梱包などトラブルで譲渡時に品質低下してしまった
見た目新品同様!な洗濯機を譲ってもらったのに、実は柔軟剤を使ってたせいで洗濯槽はドロドロ…。
結局修理代がかかって新品買う方が安かった!なんてことがしばしば。
仮に運よく修理が不要だったとしても、家電としての品質が低下していれば当然電気代も無駄にかさみます。
さらに素人同士の搬送では道中トラブルが起きないともかぎりません。安物買いの銭失い…そんな言葉が脳裏をよぎります。
それでも、どうしても中古品も検討したい!そんな人は「リユース家電」をチェックしてみて下さい。
リユース家電とは、大手家電量販店などが買取した中古品を自社工場にて洗浄・点検し、販売しているもの。
洗浄・点検済な上に1~2年の保証がついているものも多く、中古品を最も安全な状態で購入できる機会といえるでしょう。
電気の無駄に気づきにくい
2つ目の理由は、こちら。
無意識に無駄遣い?必要な時しか使ってないけど?と思いがちですが、実は誰しもが見落としがちな電気流出ポイントがあります。それが、次の2つ。
見落としがちな2つの電気『無駄』ポイント
- 意外と多い待機電力
- 電気プラン(アンペア)と使用量のバランス
待機電力とは、電気・ガス製品が電源オフ・不使用の時に消費されている電力のこと。
時計やタイマー機能、メモリや電源操作など不使用時にも維持しないといけない場合、その製品は常時動き続ける必要があります。
そのため、見た目にわからないところで電気は使われていることがあるんです。レコーダーの録画機能をイメージするとわかりやすいですね。
この待機電力に支払う電気代が、実は結構馬鹿にならないんです。
一般家庭でよく使用されるエアコンやテレビ等の待機電力量は、一般的に20~30Wと言われています。
待機電力量の多い一般家庭によくある家電(例)
- テレビ
- レコーダー
- 固定電話
- パソコン
- ネットワーク機器
- 温水洗浄便座
- エアコン
- ガス温水器(ガス給湯機) etc
仮に25Wとして、
25W×24時間×365日÷1000 = 219kWh
これが年間に消費する待機電力量の目安になります。
先述しましたが、2023年1月時点の電力料金目安単価は31円/1kWhなので
219kWh×31円 = 6,789円
なんと待機電力だけで年間6,789円の電気代を払っていることに。あくまで目安なので、実際は気温の上下や天候でも変動すると考えられます。
それでも無意識に月600円弱も多く払っているとなれば、かなりもったいないですよね。
シーズンオフのエアコンや外出時のテレビ・ガス温水器など、必要な部分以外でカットできる箇所を探してみるとよいでしょう。
待機電力をカットする方法
- 主電源を切る(オンオフ機能付OAタップなど)
- コンセントをこまめに抜き差しする
なお、エアコンのように「コンセントを差してから8~12時間後に使用する」必要がある大型家電もあります。
シーズンオフに抜いておく場合は、コンセントにマスキングテープなどでメモを貼っておくと忘れずにすみますよ。
また、待機電力含め実際に使う電気量が電力会社との契約プランに合っていない場合も電気代を無駄にしている可能性が高いです。
電気は、電力会社と契約することで使えるようになります。その契約プランは各社さまざまですが、基本料金+従量料金からなる根本の部分はどこも同じです。
電気代を構成する2つの料金
- 基本料金:電気の使用量に関係なく、契約アンペア数に応じて必ず発生する
- 従量料金:電気の使用量に応じて増減する
従量料金は「使ったら使った分だけ払う」ので、先ほどの待機電力に気を付ければ無駄にするということはありません。気にするべきは、基本料金の方。
基本料金は、契約するアンペア数によって金額が違います。例えば、多くの一般家庭で契約している東京電力の従量電灯Bではこんな感じです。
東京電力の従量電灯Bプランの基本料金一覧(1契約につき)
- 10A:286円00銭
- 20A:429円00銭
- 30A:572円00銭
- 40A:858円00銭
- 50A:1,144円00銭
- 60A:1,716円00銭
アンペア数が大きいほど同時に使える電気量が増えるので、住居人数に比例して契約アンペア数が大きくなる傾向にあります。
1人暮らしだと30A、3~4人世帯だと40~50Aが多いようですね。
このアンペア数が実生活にそぐわないほど大きければ、当然それは電気代の無駄ということになります。
毎月届く「電気ご使用量のお知らせ」を確認してみて下さい。あなたの家は何アンペアで契約していますか?
特に電気量が増加しやすい真夏・真冬でも「かなり電気量に余裕があるな」と思ったら、契約アンペア数の見直しをオススメします。
停電してしまっては元も子もないですから、「安いから」と下げすぎないよう注意してくださいね。
賃貸でもOK!知っておきたい冬の電気代をおさえる3つの節約術
賃貸住まいだと、勝手に設備の交換はできませんし、壊れてもないのに大家さんにお願いはしにくいですよね。待機電力も良い節電になるとはいえ、できる範囲は限られています。
もっと色々気軽に節電を実践したい…!そんな人が知っておくべき重要な節電ポイントは次の3つ。
- 体そのものを温めて節電
- 室内の空気を温めて節電
- 手に入れた暖かさを維持して節電
この3つを軸に、高騰しがちな冬の電気代をおさえる3つの節約術をご紹介していきます。
一番寒がりなのは「〇〇」?体内のぬくもりをにがさないためには
エアコンやストーブで部屋をどれだけ温めても、体から熱が逃げては意味がありませんよね。まずは、体内を温める熱を逃がさず保つ対策が重要です。
では、人体で最も寒さを感じやすく、体内から熱が逃げやすい場所はどこなのか?
答えは、3つの「首」。
首・手首・足首は血管が皮膚の近くを通っているため、体内の熱を運ぶ血液が外気で特に冷やされやすい場所になります。
さらに3つの首は脂肪や筋肉がつきにくいため、体の内側から鍛えても温熱効果は薄いんです。
体内の熱をとどめるためには、体の外側へ熱をにがさない工夫が重要。温めることで血の巡りも良くなりますので、3つの首を意識して保温してみてください。
3つの「首」を温められるグッズ
【首】
- マフラー
- ネックウォーマー
- ホットタオル
【手首】
- 手袋
- 手首サポーター
- 巻き型カイロ(発熱ウォーマー)
【足首】
- レッグウォーマー
- 靴下
- ブーツ
- 巻き型カイロ(発熱ウォーマー)
外出時のマフラーは鉄板ですが、屋内でも使えるネックウォーマーも性別問わず冬に手放せないアイテムになりつつあります。
もこもこふかふかの商品はもちろん、磁気で血行を促すタイプや電動温熱タイプまで!初期費用は高めですが、万年冷え性な方は一見の価値ありですね。
また、屋内外どちらでも使えるタイプのレッグウォーマーやレッグリストもオススメ。薄手のタイプもあり、ファッションを気にせず着用できるのも魅力的です。
外でも家でも、まずは体が本来もつ熱を逃がさないところから始めてみましょう。
電気代最安!?冬の暖房器具は〇〇〇で決まり!
体の熱を逃がさない…といっても、自室が冷えきっていては寒いことに変わりはありません。
過ごす時間の長い自宅の暖房は、最優先に考えたい!でもエアコンやストーブは電気代が高すぎてつらい…。
そんな人に、迷わずオススメしたいのが「こたつ」です。
電気代を気にする人にこたつをオススメする理由
- 電気代が安い
- 住環境の設備にとらわれない
- 省スペースで机と兼用できる
- 空気の乾燥対策にも
まず、こたつそのものの電気代がとにかく安い!エアコンの暖房と比べて、電気代が1/3~1/4におさまるのは本当にありがたいです。
具体的な電気代を知りたい人は↓
また、住宅に備え付ける設備ではないため、賃貸・持ち家に関係なく使えます。修理や買い替えの際にも自分のタイミングで費用の調整ができるのも、ポイント高いですね。
机と兼用できるので余分な暖房器具を買う必要もなく、暖房による空気の乾燥ブーストがないので加湿器の利用も控えめですみます。
暖房器具の購入費用も全体の電気代もおさえられるので、かなりのコストパフォーマンスの良さを実感できるでしょう。
余談ですが、実はこたつを「電気代0円」の暖房器具として使う方法があります。その裏技的方法がこちら。
- こたつの電源をオフ+中の空間を布団や毛布で満たす
こたつの中は、ちゃんと布団を敷いていれば基本外気から遮断されています。その閉じられた空間を掛け布団や毛布で埋めてから自分の体をいれると、不思議とあたたかいんです。
おそらく体内の熱が何十もの布団で逃げずに保てるためでしょう。
この技、停電時の寒さ対策にも使えるので、ぜひ覚えておいてくださいね。
こたつに布団などを詰める際は、必ず以下3点を確認の上で行ってください。
- 電源オフ
- コンセントを抜く
- ヒーター部分が暖かくないことを確認
ヒーター部分が暖かいうちに行うと、火災になるおそれがあります。十分にご注意ください。
部屋のぽかぽか空気を保つには〇〇を遮断しよう!
住宅性能が年々上がる日本ですが、気密性や断熱性能が高い住宅に住む人はまだまだ限られます。
気密性の低い昔ながらの住宅で、冬に多くの人が悩まされるのが家屋の隙間から入り込む冷気です。
窓や床からの冷気は、室内の熱を容赦なく奪います。冷気でいつまでも温まらない部屋→暖房を強める→無駄な電気代がかかる、なんてまさに負の連鎖といえるでしょう。
でも、住宅の気密性を根本から上げるって難しいですよね。持ち家ならまだしも、賃貸で勝手にリフォームするわけにもいきません。
ということで、賃貸でも今すぐ実践できる冷気対策をまとめてみました。
賃貸でも今すぐできる4つの冷気対策
- 床に断熱シートを設置
- サッシに隙間風防止テープを貼る
- 普段開けない窓は養生テープで目張り
- カーテンは断熱性能を重視
冷えた空気は重いので、とにかく下へ下がっていく性質があります。そして多くの住宅に使われる合板フローリングは、残念ながら断熱・保温効果を期待することができません。
冷気が下がることは止められないので、床側に断熱機能をもたせてあげましょう。
床からの冷気遮断に効果的なオススメアイテム
【コルクシート】
【床暖房OKラグ】
【アルミ入りラグ】
ラグやシート・マットを敷くことで、床からの冷気をシャットアウト。冷えたフローリングに触れる機会も、物理的に減らせます。これだけでも体感が全然違うんですよね。
また、ラグやシートのもつ保温性能はエアコンなどの暖かい空気をキャッチしてくれます。
コルクやアルミなど保温に特化した素材もあるので、色々見てみると楽しいですよ。
また、冷気を防ぐなら窓対策は必須!窓から来る冷気の原因は
- サッシや窓枠からの隙間風
- 外気温による窓全体の冷え
の2つです。
築古のお家では、窓本体と窓枠間の隙間が大きくて直そうにも直らないことありますよね。そこから吹き込む風はかなりの熱泥棒。隙間テープやスポンジで塞いじゃいましょう。
冬の間絶対に開けない窓であれば、養生テープで目張りしてしまうのも手です。養生テープでも貼りっぱなしだと窓枠を痛めますから、1シーズンごとに張り替えるのを忘れずに。
換気のための窓や給気口は塞がないようにしましょう。全て塞いでしまうとカビの原因になります。
また、外気で冷え切った窓本体も室内の熱が奪われる要因の1つ。窓全体から漂う冷気には遮熱カーテンが効果的です。
外気からくる冷えが室内に伝わるのを防ぎ、室内の暖かさが外へ逃げるのも防いでくれます。
遮光機能に注目が集まりがちなカーテンですが、選ぶ機会があれば是非「遮熱」にも注目してあげてくださいね。
まとめ|電気代をおさえて体もお財布もぽかぽかに
冬の寒さは年ごとに異なりますが、かかる電気代はなぜか毎年高いんですよね。節電の意識はどこかにあっても、現実に対策できている人は意外と少ないのかもしれません。
この記事でお伝えした節約術は(身近なことが多いですが)実践すれば電気代の削減につながることばかり。今年は体もお財布もあったかい冬を迎えましょう。